3.はみ出す人に注目する

魚眼視点・デフォルメ

【魚眼視点】
デフォルメ
クローズアップ

-いつもと違う」「想定外」に可能性を探る(氷山の一角)
-尖った人から尖ったアイディアを探る
-思い入れがあるからこそ、話せる内容がある

 

尖った人から尖ったアイディアを探る

マーケティングリサーチを行う際の調査設計でポイントとなるのが、

「誰に話を聞くか?=調査対象の選び方」です。

商品・サービス開発プロセスの各段階において、

  • 企画立案・アイディア抽出
  • 定量量調査で判明した事実の肉付け/インサイト情報の深掘り
  • コンセプト受容度検証・企画ブラッシュアップ

顧客の声を取り入れる場合がでてきますが、それぞれの目的に応じて、調査対象の選び方は異なります。

この調査対象の選び方を間違えれば、あまり有益な情報は得られません。

「いつもの視点」をちょっと変えてみませんか?

いつも通りは、不幸を招くレシピだ。
-カーティス・カールソン 「イノベーション」より

こんな方に、こんな時に

  • 企業の企画担当者や開発者が、「顧客の声をもとに、次の企画に繋がるアイディアが欲しい」と考えているなら・・。
  • アイディアを考えるために、何度も、顧客の声は聞いているものの、なんだか、想定の範囲内の回答ばかり・・・。
    作る側のアイディアを刺激するような斬新な意見なんて、出てこない・など、調査の有用性に疑問を感じているのなら。

魚の目で見るとは?
平均値からアノマリーへ。「はみ出す人」に注目する。
イノベーションを求めて。

魚の目で見るとは?

顧客の声から
イノベーションアイディアを得るための方法

一般的に、商品・サービスの利用者や、ターゲットについて話をする際、あえて定義しなくとも、誰もが思い描く人物像は、図Aの部分。
つまり、市場を正規分布図で見た場合の「顧客の平均像」であり、「ボリュームゾーン」と呼ばれる人のことです。
いわゆる、「一般的なターゲットのプロフィール、人物像」として、全体傾向を掴む上で重要です。

 

この平均値から外れた部分(正規分布から遠いエリア:図B、C)は、基本的には「アノマリー」として、「異常値」、または、「参考値」扱いにされ、企画立案段階・アイディア出しを図る中で無視されてしまうことが多いようです。

 

確かに、新商品・サービスは、多くの人に受け入れてもらうために行っているのですから、狙ったターゲットプロフィールに受け入れられるかどうか、コンセプトブラッシュアップやユーザー受容度検証の上では、Aの「一般顧客像=正規分布の平均値」に注目することが欠かせません。

 

しかし、ここで、もし、あなたが、顧客の声からイノベーションに繋がるアイディアを得たいなら・・・。
今までAの層に向けられた視点を、B、Cにラテラル(水平移動)してみてください。
「平均値からはみ出す人」とはつまり、

  • 商品・サービスの新しい使い方をしている先駆者
  • 商品・サービスの新しい顧客層の先がけ(イノベーター)
  • 商品・サービスについて語るべきストーリーを持っている人
    ~商品・サービスについての感動体験、商品・サービスについてのトラブル体験 などなど。

もしかしたら、あなたの「Think different」を触発してくれる人なのかも知れないのです。

氷山の一角

はみ出す人に注目する意味
“想定外”の中にユーザーの
隠れたニーズを探る

ラテラルマーケティングで、「はみ出す人」に注目するのは、そこにビジネスチャンスが産まれる“におい”がするからです。

  • 企業側が考えたのとは違う使い方
  • 想定していたターゲットとは違う人

つまり、その一部の「はみ出す人」の使い方が、多くの隠れたニーズ( Hidden needs)を代表している「氷山の一角」である可能性があるかもしれないのですから。

例えば、女性用の「泡で染める白髪染め」。

「女性用の泡の白髪染めを使っているが、実は私も使っている」という男性に着目。実際、当該商品の発売後、多くの男性のお客様から、「男性でも使えるのか?」といった問合せもあり、「男性用泡で染める白髪染め」もリリースされたという話です。

一見すると商品・サービスを開発した側から見れば変な使い方、想定外の利用なのかもしれないけれど、それは、「アノマリー、異常値=はみ出す人」ではなく、多くの顧客の本来隠れているニーズを切り開く突破口なのもしれないのです。

はみ出す人」を基点としたリサーチの基本ステップ

層B、Cに位置するはみ出す人は、本人にとっては、その使い方が普通であり、「平均的な顧客像」との違いに自身は気づいていないかもしれません。

もし、本人が「普通ではない」と認識している場合でも、「隠したい」といった心理が働いている際は、なかなかその実態を顕在化していくことは難しいと言えるでしょう。

しかしながら、「はみ出す人」を見つける方法はあるのです。

まず、対象とする商品・サービスの平均的な全体像を把握することからスタート(STEP1)。

その上で、「はみ出す人」とは、具体的にどのような人かを発見&定義します。その上で、条件に該当する人にフォーカスを当て、新たな市場創造のヒントを得るのです。(STEP2)

でも、それだけでは不十分。もしかしたら本当に「はみ出す人」は、「ただの変な人」「レアケース」なのかもしれないのですから。

そこで、STEP2で得られたアイディアやヒントが、どこまで実際の顧客層の支持を得られれるのか、「正規分布の平均値、ボリュームゾーン(図1.顧客層A)」の人を対象に、その受容度を探っていきます(STEP3)。

はみ出す人に注目する:リサーチ基本ステップ

▼STEP1.はみ出す人」の発見(全体像把握)

  • 市場の全体像を把握し、 「平均値からはみ出ている人 =はみ出す人」を発見する

▼STEP2.アイディアに繋がるネタ収集(仮説立案)

  • 「はみ出す人」を対象に調査を実施
    CASE1:定性調査
    *インタビュー、観察法、などより、具体的に生の声を聞きたい場合
    CASE2:定量調査
    *ネットリサーチ。 一定母数を確保し、「はみ出す人」を 掘り下げ、客観的な判断素材とする。

▼STEP3.アイディア市場性判断(仮説検証)

  • 「はみ出ている人」は 単にレアケースなのか、 氷山の一角なのかの見極め
  • 同じものを「平均的な顧客像」である 多くの人も欲しがるか?

リサーチをロジカル+ラテラルで考える


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