ホムンクルス
ホムンクルス(Homunculus):ラテン語で小さな人の意味
思考のエンジンとホムンクルス
「考えるコツ」について考えてみた
企画会議、アイディアブレスト、ワークショップなどなど。
一人で行うか、少数グループで行うか・・。
形態やテーマは色々あれど、ビジネスの場面において、「思考のエンジンをかけて、何かを生み出す」というプロセスは、日常の一コマです。
その際の「アイディアを考えるコツ」「思考に没入するコツ」って、あるのでしょうか?
あるとしたら、どんな方法なのでしょうか?
私の場合は、一人で何かを考える際はもちろん、チームでの社内会議や、お客様と一緒にワークショップで意見交換する際も、何かを考える際は、「ホムンクルス」の絵を頭に思い浮かべます。
ホムンクルスといっても、ゲーテのファウストに出てくるホムンクルスではありません。
また、ゲーテも参考にしたといわれる16世紀の錬金術師、パラケルススが作ったホムンクルスの話ではありません。
パラケルススのホムンクルスとは、
- 「男子の精液を蒸留器の中に40日間密封すると、腐敗活動を起こして目に見えない生命体が発生するので、これを人間の血で養い、40週のあいだ、馬の胎内と同じ一定の温度に維持し続ければ、小さな人間になる」
という、ホントーに胡散臭さ満載の話です。
そもそも実験に成功した人はパラケルススだけだし・・。
(参考:「伝説の魔法とアイテムがよくわかる本」佐藤 俊之監修、「よくわかる世界の幻獣事典」 世界の幻獣を研究する会 著
いずれも、古今東西の神話などから、テーマに沿って“魔法”とか、“幻獣”とか、天使や悪魔、などなどを横串で一覧して読める面白雑学系の本。シリーズも多くて寝る前に読むのに最適)
まあ、個人的には錬金術の話は、大、大、大好き。
しかも、錬金術の世界は、映画やゲームなどでかなり身近な話ですね。
たとえば、ハリーポッターは、第1巻のタイトルからして、「ハリーポッターと賢者の石」、14世紀の錬金術師ニコラ・フラメルが作った「賢者の石」を巡る話でした。マンドレイクを使った授業のシーンもあったし・・。
ドラクエのゲームの中にも多数発見。
——————–また、話題がそれてしまった・・。
一方で、ペンフィールドのホムンクルス(Homunculus)とは、カナダの脳神経外科医であるワイルダー・ペンフィールドという人が、身体のそれぞれの部分を支配している「神経細胞の量」を、体の表面積比であらわした図(ホムンクルス)を三次元化したものです。(ウィキペディアは、日本語より、英語の説明の方が詳しいのでこちらに)
私はまだ行ったことがないのですが、ロンドン自然史博物館(Natural History Museum)のブルー・ゾーンで、この展示が見れるとのこと。(私はまだ残念ながら実物を見に行ったことがありません。これを見るためだけでも行ってみたい!)
面白いのは、手や舌に関係した神経細胞が非常に多いということ。
「指をたくさん使えば使うほど、指先の豊富な神経細胞と脳が連動して、脳の神経細胞もたくさん働かせる結果になる。指や舌を動かしながら何かをやる方が、考えが進んだり、覚えやすくなったりする」ということらしいです。
よくしゃべる、よく手を動かす(手で考える)、多様な人を相手に、異なる意見と意見を結び付ける・・。
そうすると脳が活性化して考えが進む・・。
私自身も、何かを考える際は、どちらかと言えば手で考えるタイプで、極太のカラーペンで何十枚も思いついたことをイラストで書き殴りながら頭を整理するやり方を取ります。
→MUJIの六角カラーペン:10色セットが定番。ペンの色数が多いとテンションが上がり、つい、全色は使えないのに87色セットとかを買ってしまう・・。
大きな模造紙を使って、マインドマップのようにツリー図を書く場合もありますが、どちらかと言えば、A4のコピー用紙に思いついたキーワードやチャート、イラストを書きなぐって、後からそれを前後左右に並べ替えたり、いらないものを捨てたり、付け加えたりしながら、考えをまとめていくやり方があっているみたい・・・。
だから、あまり考えがまとまらない時や煮詰まった時は「まだ、口と手が動かし足りないだけ」と開き直ります。割り切ります。
そもそも、手や舌を使うことは、脳を刺激することに繋がるとのことですが、私たちのような“大人”には、特に有効みたい。
最近になって、「アレコレソレが増えてきた」のを、私自身、「年取ったせい?生物的劣化の始まりか?」とちょっと動揺&気にしていましたが、物忘れを「年のせい」にするのは、科学的に見て大きな間違いだそうです。
単に、大人になると「年齢の分だけ今までに蓄積してきた情報量が多いから」であり、ようは、子供のころと比べて、大人はたくさんの知識を頭の中に詰めているから、そのたくさんの中から知識を選び出すのに時間がかかるだけの話。
「大人が1万個の知識の中から1つを選ぶようなものとしたら、子供は10個の記憶の中から一つ選びだすだけだからすぐにできる」
ことが理由だそう。
(*参考:同上「海馬 脳は疲れない」 池谷 裕二/糸井重里)
今までインプットしてきた脳の中の情報源にアクセスする上でも、舌や手を動かすことが役に立っているのかしら?
「ペンフィールドのホムンクルス」。
何かを考える際の頭の片隅に、この小人の存在を思い出すと、思考がいつもよりも、一歩、進むかもしれません。
関連情報
KFSでは、調査結果について、議論したり、その次を考えるワークショップの開催をサポートしています。
手を動かすのはもちろん、頭を動かすために、模造紙や色とりどりのペン、色つきの付箋はもちろん、、カードやサイコロ、など色々な小道具を準備しています。
楽しくやるのも、真面目にやるのも、結果が同じなら、楽しい方がいいな—と思っています。
→もちろん、あまり遊び感があると引かれるので、要ご相談で(笑)