インサイトとは?
顧客に対するあなたの勘違い
顧客は、あなたの目の前でアイディアを具現化して語ってくれるほど、都合のよい存在ではない。
いくら顧客の声を聞いても、新商品やサービスは生まれない・・・。
顧客に聞いても、「より安く、より多く」という、いつもながらの反応が返ってくるだけ・・。
これらの意見は、そもそも、顧客についての認識が違うと言わざるを得ません。
そもそも、顧客は商品やサービスの享受者であり、その商品やサービスを批判したり、足りないものを見抜くことは顧客の仕事ではないのです。
例えば、レストランに行って、「ハンバーグ」を頼んだとします。
お客様に「ハンバーグの味は満足ですか?」と聞けば、おいしい、まずいについては、当然、お客様の体験として、語ることができるでしょう。「肉がばさばさする」や、「食感が悪い」と回答してもらうこともできるかもしれません。
そして、何が問題なのか、実態を把握することは、商品・サービスを提供する側にとって、問題解決の第一歩です。
ただ、もし、「まずい」と言われた場合に、「どうすればこのハンバーグはおいしくなりますか?」と顧客に聞いて、あなたの求める答えが返ってくるでしょうか?
「牛肉と、豚肉のバランスを7:3ではなく、8:2にして」 「ふっくらさせるために、火を止めてから3分間蒸す」 「牛骨で取ったブイヨンを、肉を混ぜる時に入れてコクを出して欲しい」 など、具体的なアドバイスができるのは、プロの調理師であったり、料理評論家と呼ばれる人だけのはず。
確かに、的確な意見を述べることができる生活者が増えてきています。ただ、いくら、”プロシューマー”と呼ばれ、一般生活者のプロ化が進んできても、その一線を思い出してください。
つまり、顧客は、新しい商品やサービスを開発しようとする際に、 改善方法を具体的に教えてくれる存在ではないし、ましてや、「いまだ形になっていない、他社との差別化に役立つ商品やサービス」を、企業の開発者やマーケッターの目で、すぐに商品化できるような形に具現化して語ってくれるほど、都合のよい存在ではありません。
そこから商品・サービスを具体的にどう改善&革新すべきかは、顧客が考える仕事ではなく、マーケッターや、企画開発担当者のあなたが考える仕事。
だからこそ、その基点となる、顧客のホンネ(=インサイト)をどう掘り下げていくか、そのためのアプローチが重要になります。
インサイトの定義とその発見方法
言葉で語れる領域なんて、わずかだ。
顧客自身が自分のニーズや本音に気づいていない場合がある。
自分が何を求めているのか?
本当は何が欲しいのか?
生活者はいつも、常に明確に理解して、商品を選んでいるわけではありません。
実際にいつもの○○を手に取る際、売り場で直感的にパッケージを手に取る時、後付の理由は抜きにして、どうしてそれを選んだか、うまく説明できますか?
科学者によっては、人間の行動の90%が、潜在領域によって影響されるとも語っています。
それだけ、人間の行動には、本人自身が自覚しておらず、意識の表面化に上がってこないために言語化することが難しい、無自覚領域の影響が大きいのです。
ましてや、“あなた以上”に、あなたの商品・サービスについて、愛着を持っているかどうかは、わからないのが生活者。
もし、顧客視点に深く切り込みたいのであれば、「言葉で語れる領域(顕在化領域)」だけに耳を傾けていては、生活者のホンネを見誤ってしまうかもしれません。
そこで昨今、注目されているのが、「インサイト」。
インサイトとは、直訳すれば、「洞察、発見」といった意味で、人の行動や態度の奥底にある、時には本人も意識していないホンネの部分。潜在化しており、言葉ではできない領域のことを指します。
生活者がどこに価値を置いているのか、購買行動の裏にはどのような心理が働いているのか?
心の奥底に存在し、生活者自身も気づいていなかった感情やニーズを掘り下げる、それが、インサイトアプローチです。
言語化領域
- 言葉で語れる領域。
- 日ごろから困っていること、よく自覚している事柄など。
- 回答者自身が意識し、自覚している分野。
調査手法:
- ネットリサーチ、郵送調査等のアンケート
非言語化領域・表層部
- 人の潜在意識の表層部
- 聴き方によって、潜在意識を刺激し、引き出すことができる。
インサイトアプローチ
- 写真投影法(ビジュアル刺激法)
- 文章完成法
非言語化領域・深層部
- 本人も無自覚
- 言葉として聞き出すことは困難
- 行動・事実をもとに分析
インサイトアプローチ
- 行動観察法
- 写真観察法
- 日記調査
男女関係で考えるとわかるインサイト-だからあなたは騙される
表面上の言葉だけをうのみにしていたら、いつまでたっても、関係は前進しません。
その人の日々の生活を理解し、何気ない一言や、態度からホンネを察し、たまには“サプライズ”で喜ばせることが大切です。
顧客に愛される商品・サービスの創造も同じです。
言語化領域
- そうね。優しくて、私を理解してくれる人が好みなの。
非言語化領域・表層部
- 仕事をやめて専業主婦がしたいといっても理解してくれる人ね。やっぱり、男は経済力でしょ!
非言語化領域・深層部
- 「経済力」というか、「サバイバル力」?
この人なら失業しても、すぐに仕事を見つけられそうとか、自分で起業して成功しそうとか、会社でちゃんと出世しそうとか、そういうことかナ?